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神戸地方裁判所 昭和50年(わ)748号 判決

本店

神戸市長田区東尻池町二丁目九番二三号

会社の商号

株式会社日興ゴム工業所

代表者

榎本悦三

本籍

神戸市兵庫区菊水町四丁目一四番地

住居

同 市長田区西山町四丁目二七番一五号

会社役員

榎本悦三

昭和一三年一月一〇日生

右の両名に対する各法人税法違反被告事件につき当裁判所は検察官雪下陽中出席のうえ審理をして次のとおり判決する。

主文

被告人榎本悦三を懲役八月に、被告会社株式会社日興ゴム工業所を罰金五〇〇万円に各処する。

被告人榎本悦三に対し、この裁判の確定した日から二年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社株式会社日興ゴム工業所は、神戸市長田区東尻池町二丁目九番二三号に本店を置きケミカルシユーズ製造販売等の事業を営むもの、被告人榎本悦三は、同会社の代表取締役としてその業務全般を統轄しているものであるが、被告人榎本悦三において、被告会社の右業務に関し、その法人税を免れようと企て、

第一  昭和四七年一月一日から同四七年一二月三一までの事業年度における実際の所得金額は三、一七一万八、八三五円、これに対する法人税額は一、〇七七万五、七〇〇円であるのにかかわらず、架空の材料費及び外注加工費を計上するなどして得た資金を架空名儀の預金とするなどの不正な方法により所得の一部を秘匿したうえ、同四八年二月二八日、所轄神戸市長田区大道通一丁目所在の長田税務署において、同署長に対し、所得金額が八二五万三、五四二円、これに対する法人税額が二二二万九、〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により同事業年度の法人税八五四万六、七〇〇円を免れ、

第二  同四八年一月一日から同四八年一二月三一日までの事業年度における実際の所得金額は、二、三〇六万六、四八〇円、これに対する法人税額は八二一万四、二〇〇円であるのにかかわらず、前同様の不正手段を講じたうえ、同四九年二月二八日、同税務署において、同署長に対し、所得金額が欠損二八一万三〇八円で納付すべき法人税が無い旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により同事業年度の法人税八二一万四、二〇〇円を免れ、

第三  同四九年一月一日から同四九年一二月三一日までの事業年度における実際の所得金額は四、六七一万六、四七八円、これに対する法人税額は一、七九六万六、四〇〇円であるのにかかわらず、前同様の不正手段を講じたうえ、同五〇年二月二八日、同税務署において、同署長に対し、所得金額が二四八万八、二七〇円、これに対する法人税額が六九万六、六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行偽により同事業年度の法人税一、七二六万九、八〇〇円を免れたものである。

(証拠)

一、被告人榎本悦三の当公判廷における供述

一、被告人榎本悦三の検察官に対する供述調書

一、被告人榎本悦三の大蔵事務官に対する質問てん末書一三通

一、山崎純子(三通)、榎本敏子(三通)、慎 硯範、村田数馬(三通)、松本勝二、李 圭秀、季 昭憲、金進秀、権 熙先の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、大蔵事務官作成の脱税額計算書(三通)、脱税額計算書説明資料(「貸借」および「損益」の部、各三通)、脱税額計算書説明資料付表(「貸借」および「損益」の部各一通)と題する各書面

一、大蔵事務官作成の法人税申告書に関する証明書(三通)、青色申告の承認申請書に関する証明書

一、検察事務官作成の「電話要旨」と題する書面(証四八)

一、加島達也、武知孝明(証二二)作成の各供述書

一、登記官作成の法人登記薄謄本

(適条)

法人税法一五九条一項、被告人榎本悦三につき各懲役刑選択、被告会社につき同法一六四条一項、刑法四五条前段、四七条本文、四八条二項、二五条一項。

(裁判官 金山丈一)

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